2021年のユネスコクラブ【ユネスコクラブ特集】5 / 5


2020年ソーシャルディスタンス期もSDGsを実現した高校生の「成長する力」5/5

2021年のユネスコクラブ

――今年は生徒商業研究大会が開催されることになりました。前回は、伝統工芸品にブライダルを掛け合わせて研究しました。今年は切り口を変えて、伝統工芸品の課題をさらに広げて、未来に繋げていきたいと思います。

――具体的には、まだしたことがない商品開発をしてみたいです。商品開発をしたくて入部した生徒もいますから、経験してみたい思いはあります。

――さきほどお話に出ていた「文化のみち」観光ツアーもしてみたいです。ミツバチ視点の話はこれまで部員からも出ていました。まだ企画の形にはなれていませんが、文化のみちにあらためて着目して。

観光甲子園で有松に着目した時、日本遺産はそのまちのストーリーが大事であること、本当によく教えていただきました。

文化のみちには、一つ一つ魅力のある建物があることは知っています。それぞれのストーリーを深堀して、文化のみちのストーリーはどういうものがあるのか、積極的に研究していきたいです。想像して今からワクワクしています。

――文化のみち地域でも『れんげプロジェクト』など、個人経営のお店もあります。コロナの影響でどうなっているか、具体的にはわかりませんが、個人経営のお店も商品開発で関われると思います。

自分たちで「実際に歩いて」が大事と思いますから、いろいろな形でのびのびと発展していってもらえれば。ワクワクがまずは大事と思います。

――「文化のみちアイスクリン」を開発した時、当初とは全然、違う形になりました。マカロンからスティックになって。よい形で、自分達で納得できる形になりました。

大会の結果も大事ですが、それと同じくらい過程も大事です。

――卒業して振り返ると、本当に三年間よい活動ができたと思います。周りの高校生と比べれば、まったく違う三年間を歩んできました。この三年間しかない期間に、このような経験をさせてもらって本当にありがたいです。

先輩から受け継いだものは、すべて財産です。それを活かしてきましたので、本当によかったと思っています。

二年生はまだ納得してないところがあり、その分まだまだ高みを目指していると思います。思いに追いついて、全力で追いかけてもらえれば。

写真:校舎表の垂れ幕 右「ユネスコクラブ」

個性を活かした活動と根本

――ユネスコクラブは、私たちの学校がユネスコスクールに認定されたことから、いただいたものです。活動は多岐にわたり、いろいろな先輩が挑戦してきた活動から引き継がれたものもあれば、その先輩の代で終わってしまったものもあります。

代によって個性を生かした活動をしていますので、ユネスコクラブはこうあるべきというものはないと思います。ただ根本にあるものは同じです。

――ユネスコスクールが「持続可能な開発のための教育」ESDであることは、学校の玄関に貼り出されたり、目に見える形にされています。

ただ全校生徒がそれを理解しているわけではなく、学校がユネスコスクールに認定されていることも知らない生徒は、多分たくさんいると思います。

でも私たちは知っているぶん背負って、持続可能に着目して活動していこうと、SDGsに発展させてきました。SDGsはだんだん教科書などにも載りはじめたり、知られるようになっています。

「私たちは一歩先の活動をしている」という認識は、ユネスコクラブの全員が持っています。学校がユネスコスクールに認定されていることは、私たちにとってはありがたいです。

写真:[左端]当会代表[手前]二年生[奥]三年生

――活動はクラブになった当初「厳しかった」と聞きました。夜8時まで活動するのが普通、土日も休みなしだったそうです。

今は部活の制度が変わり「土日どちらかは休みをとりなさい」など決まりができてきました。そのぶん「私たちはどう効率的に活動する」など課題はいろいろ出てきて、皆で乗り越えています。

活動スケジュール表は月に1回、休みの予定もすべて出しています。働き方改革でも言われている「効率化」は、私たちにとっても大きな課題です。

――「効率化」は、環境甲子園の動画制作で特に苦心しました。学校のソフトウェアで制作していましたので、家では作業がまったくできません。だから登校してすぐか、部活の時間内か「お昼休みも使おう」とか。

――いつもなら少し持ち帰って「ここをやればいい」などができました。それができないぶん、とても考えさせられました。

――「効率」が合言葉でした。皆で作業を分担して「今日はここを作っていく」「ここまで絶対に作っていく」と予定を共有しました。

作業中はずっと大声で「ここできた」「ここまだできてない」「5時までに完成させるよ」と状況を共有しました。

――動画制作中は「大変だな」と思った時もありました。いま思い返せば「すごい楽しかったな」が一番に残っています。卒業した今は「戻りたいな」とも思います。


三年生から後輩に伝えたいこと

――卒業してから「これやりたい」「これやっておけばよかったな」と思うことはたくさんあると思います。

――卒業して一番に感じるのは、梶原先生のありがたさです。厳しいことも言われましたが、時代として先生は生徒に対して厳しいことを言わなくなっています。厳しいことを言ってくれる梶原先生には、それだけ本気で私たちに向き合ってくれていると感じました。

言われた時は「ウッ」と思っても、本当のことですから「全力でやろう」と切り替えられました。今は「あの時ああ言われてよかったな」と思います。

――先生から厳しいことを言われたぶん、反抗心をばねにしました。「明日、見返してやる」とか。ありがたかったです。

――先生のありがたさは卒業してすぐ、部活外で感じる機会がありました。

高校生が集まってプレゼンする場があり、前日にコーディネーターさんから修正を出されました。私は、部活のつもりで修正して「24時間しかなかったのに、こんなにやってくれてすごいね」と言われました。

言われて初めて気づきました。部活で先生から、直前でも厳しいことを言われたことが「活きてきたな」と。それは後輩にも伝えたいです。

――これからもっと「活きてきた」と感じる機会は増えると思います。私は就職するため、働き始めてから「ユネスコクラブでの経験」を通して、感じることがたくさんあると思います。どれだけ経験が活かされるのか、不安もありつつ楽しみにしています。

――三年生になると、先生と話す機会もより増え、先生の思いも伝わってきました。先生は私たちにまかせてくださったり、信頼してくださっている。だから「信頼に値するくらい頑張ろう」と、いろいろな思いで活動してきました。

――卒業する私たちにとって、観光甲子園は先生への恩返しでした。先生には言いませんでしたが「結果を出そう」「グランプリしかない」と。

――「先生を泣かせるぐらいの勢いでやろう」と。

――先生は見てないようで、一番わかってくださっています。私が進路で悩んだ時も、一番、的確なことを言ってくださったのは先生でした。私よりも私のことをわかってくださっていると思います。

――見てくれているし、考えてくれていると思います。いま一番、信頼している大人をあげれば梶原先生です。なにかあれば「梶原先生」と信頼していますし、尊敬もできます。こういうことは、先生の前ではなかなか言えませんが。

――(二年生)私は、今はまだ厳しいことを言われて「頑張らなきゃ」の段階です。だから今年は一年を通して先輩のように、先生に言われることを素直に受け止め、行動することが大事と思います。するうちに多分、自然と先輩のような考えに。

――二年生が卒業する時「よかった」と思えるようになれば嬉しいです。

活動では、いろいろな大人と関わらせていただきます。それまで私は、大人には「諦めちゃう人が多いのかな」とイメージしていました。それが活動で実際の大人、なにかひとつの目標に向かって頑張る大人の姿を見て、イメージが変わりました。

活動では「私もこうなりたい」と思う大人のあるべき姿、あこがれの姿を見てきました。ユネスコクラブを卒業してからも、そういう人になっていきたいです。ユネスコクラブでいろいろな人と出会ってきて、本当によかったと思います。

ユネスコクラブでたくさん成長したと思います。活動での経験を財産に、社会人になってからもたくさん成長していきたいです。

取材:2021年3月 東区まちそだての会

写真:[奥]当会代表[左]二年生[右]三年生

愛知商業高校ユネスコクラブ

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