力のつけ方-真似から始める-【ユネスコクラブ特集】2 / 5


2020年ソーシャルディスタンス期もSDGsを実現した高校生の「成長する力」2/5

力のつけ方-真似から始める-

――(三年生)一年生の時、先輩達を見て「こうすればいいんだ」「私たちはこういうものが付け足せるんじゃないか」と話しあいをたくさんしました。最初はとにかく「先輩の真似」をしました。

先輩がしていたことを「私も」としていくうち、だんだん要領をつかめていきます。そのうち「自分はこうしていこう」「自分の得意をプラスしたらもっとよくなるんじゃないか」と考えられるようになります。先輩を見て学んだことは多かったと思います。

特に「文化のみちアイスクリン」開発で学んだことは大きかったと思います。当時の私は一年生でした。それでもしっかり関わらせていただけ、先輩と一緒に同時進行し、学ぶことはたくさんありました。

私たちにとって、商品開発は本当に大きかったと思います。

――(二年生)私は一年生の時、自分から発言するまでが大変でした。

クラブでは意見を言う、話しあう機会がいろいろあります。先輩達は本当にすごく、話しあいの場でたくさん意見を出しあいます。私は事前に調べていても「私には無理」と、発言できませんでした。

でも、意見が言えないからと諦めてしまったら「先輩に追いつけない」と思いました。それに、私たち一年生が入って増えた「人数のよさ」を活かせないと思いました。だから自分の殻を打ち破る、自分から一歩を踏み出すことに、とても苦労しました。

二年生に上がると、外部の方とお話しする機会もあります。自分から話すことは難しく、今も私の課題です。

先輩を見ていくうち「私もこうなりたい」「先輩を超えたい」と今は思っています。それを達成するには、自分から踏み出すこと。それはいま私が一番、意識していることです。

写真:部室内の掲示(良いチームの条件、SDGs)

力のつけ方-プラス情熱-

――(二年生)私も一年生の時、まず初めに「話しあいの場がたくさんある!」と、すごくびっくりしました。たくさん話しあいがあることの驚きにプラス、先輩のすごくテンポのよい意見の掛けあいも見て、初めは全然ついていくこともできませんでした。

初めのうちはどうしても「今は何の話をしているんだろう」と止まってしまうことがありました。それでも話しあいの場から、先輩の活動に対する情熱を感じ取ってきました。

一年生の入ったばかりの時、ワクワクやキラキラが大きかったと思います。そこにだんだん情熱も受け継ぎながらプラスされ、だんだん私も話せるようになってきました。

これから三年生になりますので、もっともっと頑張らなければと思っています。それから新しい目標「自分から発言をする」に加えて「勇気を持って前に出る」があります。

私は時々ちょっと前に出られない時があります。そこでちゃんと勇気を持って前に出られるようにしたいと思います。「これと思ったらすぐ言う」ところから変えていきたいです。

日常の中では、積み重ねが本当に大事と思っていますので、これからも続けていきます。今はまだ意気込みが先行して、まだまだ伸び途中です。でも思いを持っているぶん、能力は思いにどんどん近づいて行きます。まずは思いが大切と思っています。


――(二年生)私は入部した最初から、意見を言うことが苦手でした。部活では、プリントや新聞を読む機会もあります。そういう場でも、皆の前で話すことができないほうでした。今もちょっと緊張しています。

先輩は観光甲子園でも、意見を言う場でも、すごくこだわりを持っています。私が先輩に一番、学べたことは「最後までこだわり続ける」です。先輩のこだわりにすごいと思っていて、特に最後まで諦めずにやり遂げることをすごいと思っています。

私には大雑把なところがあり、ちょっとしたところでも「ま、いっか」と思ってしまう時があります。でも先輩は諦めずにこだわり続けて、ちょっとしたミスでも変えていって、時間がなくてもできる限りどんどん変えていきます。

最後までこだわり続ける力が、先輩には備わっているのを見て、私にはない力と思いました。最後までちょっとしたところにこだわり、納得のいくものを作っていかないと、後に残るのは後悔だけと思いました。

観光甲子園でも先輩は、動画の構成「万華鏡」が出るまで、すごく時間をかけてこだわっていました。最初は全然、違う方向から動画を考えていたのが、たくさん話しあいをするにつれて変わっていきました。

私は「もうここまで来たらいいだろう」と思っていましたが、先輩は最後までずっと話しあいも続けてきました。最後の最後に「万華鏡いいんじゃない?」が出てきて、時間をかければかけるほど、こだわった作品ができることを知りました。

時間をかけることも、こだわり続けることも、すごく大事と思いました。それが成功に繋がっていくことも学びました。

写真:[左]三年生[右]二年生

力のつけ方-諦めない-

――(三年生)私たちはずっと先輩から「限界は作らない」と言われ続けてきました。実際に先輩と活動し、本当に最後の最後まで、時間がどうであれ、どんな状況であれ「私たちはこうしたい」意思を貫いてらしたのを見てきました。 

だから今回の動画作りではまず、皆が見て納得する動画でないと、見ている人は必ず違和感を持ってしまうと思いました。それに、最後までやりきらないと結果も出せません。最後の最後に時間をかけたところが、結果に繋がったこともたくさんあります。

今回も「諦めずにし続けるのが絶対いい」考えで、皆で支えあいながら最後までやりきりました。

この考えは、クラブで自然に引き継がれていると思います。言葉ではなかなか言い表せませんが、部員は皆、先輩の背中を見て成長していきます。先輩には目指すべき目標があって、それを私たちも追いかけてきました。本当に良い環境で活動させてもらったと思います。

――最後まで諦めずにし続けてきたのは、先生が最後まで見守ってくださったから。私たちが「こういう意見」を固めていき、最後に先生の意見をいただいて「やっぱりそうだ!」と気づくこともたくさんあります。その気づきからまた、もう一つ、二つ、進められます。

先生がいらっしゃらなかったら多分、私たちも活動する中で、こういうところまで来られてなかったと思います。まだ引退して2週間ぐらいしか経っていませんが、先生の偉大さは本当に実感しています。

梶原先生:「こうしたら」と言うときはあります。言わなくてよい時は言わずにおきますが「最後はダメ出し」します。締め切り間近でダメ出しされると、生徒はしんどいと思います。でもそこも超えないと、今回の結果は出なかったのでは。

「最後はダメ出し」が、もうちょっと早ければよいとは思います。ただ最後まで時間をかけることは大事ですから、なかなか難しいところです。今回のように「行けると思うところは行く」ことが一番、大事です。

締め切り間際のダメ出しは、生徒が社会に出ても絶対、仕事でもあると思います。部活の経験から「自分だったら早くあげていいもの作っていこう」と、前倒しでやれるようになると思います。ギリギリでしかできないと、多分ずっとギリギリでしかできません。

そういうことを覚える意味でも、生徒は今、本当に良い経験をさせてもらっていると思います。

――先生は「絶対こうしろ」と仰らなかったので、私たちに「やらされている」感はありませんでした。「やりたいからできた」のは、すごくありがたかったです。

やらされているのではなく、やりたい気持ちはすごく大事だったと思います。締め切り間近でも「絶対よいものを作るんだ」と自然に情熱が湧いてきました。

梶原先生:生徒の感じ方は、今だからそうなのかもしれませんね。

今日は、企業の方が来校して講演してもらう行事がありました。その中の一人は卒業生、ユネスコクラブで活動した生徒です。彼女が企業講演でスピーチするのは、今回で二回目です。

彼女が活動していた頃、ユネスコクラブは立ち上げ当初でした。だから今よりもっと厳しいと思っていたでしょうし、やらされている感が結構あったのではと思います。

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「文化のみち」で養蜂

梶原先生:クラブとして立ち上げたのは、2014年4月です。授業では2010年から、10年以上になります。『歩こう!文化のみち』に携わらせていただいたのも、2010年から。養蜂は翌2011年から始めました。

最初は授業、有志でしていました。東区まちそだての会と『文化のみちマップ』を作った時、クラブになって1年目でした。

梶原先生:養蜂の話は、名古屋学院大学の水野先生*からいただきました。水野先生は、熱田でまちづくりの活動をされていて、学内で養蜂をされています。

まちづくりは、そもそも僕の授業課題です。授業で『文化のみち』エリアを取り上げ、そのエリアに関わりたいと考えていました。

水野先生にお会いした時「どういう関わり方をしたらいいですか」と相談しました。先生の「養蜂やってみる?」から、ユネスコクラブの養蜂はスタートしました。

文化のみちで養蜂をすれば、歴史と文化に繋がるハチミツが採れて「いいかもね」から始まりました。

*現代社会学部 水野晶夫教授。名古屋学院大学みつばちプロジェクトリーダー。

梶原先生:活動の広がりは、生徒たちの活動によりました。ぷらんぼんさんとの商品開発は、2012年に徳川園でやらせてもらったはちみつ対決*がきっかけです。

*『名古屋の2大日本庭園(徳川園VS白鳥庭園)はちみつ対決』。愛知商業高校「なごや 文化のみちミツバチプロジェクト」チーム、名古屋学院大学「みつばちプロジェクト」チームの合同企画。

対決の様子をぷらんぼんさんに見ていただいて「文化のみちスイーツを一緒に作っていただけないか」提案しました。『希望のはちみつりんご アイス』の時も、生徒から提案していきました。

2014年は、フードグランプリ*に出てダブル受賞しました。大会に出て賞をもらうと、励みになりますよね。企業に喜んでもらえて、まちの人に関わってもらえて、大きな励みになったと思います。

*2014年『商業高校フードグランプリ』松坂屋名古屋店で開催。全国の商業高校生がプロデュースした「食」の商品コンテスト。大賞、来場者賞をダブル受賞。


愛知商業高校ユネスコクラブ

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