地味な活動の大切さ【ユネスコクラブ特集】4 / 5


2020年ソーシャルディスタンス期もSDGsを実現した高校生の「成長する力」 4/5

地味な活動の大切さ

梶原先生:自由研究の活動は、テレビ番組*に取り上げられましたので、入部を希望する生徒は増えるのではと思っています。取材は二週間がかり、放送時間もとっていただきましたので、見ている方は結構いるのでは。

これまでメディアに取り上げられた翌年は、反響が大きかったです。ここ何年か、テレビ番組に取り上げられることはありませんでしたが、今年度は多かった。コロナウィルスの影響で活動しにくい状況でも、いろいろ活動していたのが大きかったと思います。

ただ最初はなかなか、実際の活動は地味ですから。入っても半分ぐらい、やめてしまう生徒が多いです。

――私は先輩の出店活動を見て「私もこうなりたい」と思って入りました。中学校からパンフレットをもらった時、進学先も決めていませんでしたので「行ってみよう」と、アイスを買いに行きました。

――入ってみると、最初は地味な作業が多いです。でもその上での活動があることに、活動していくうちにわかるようになりました。最初はわかりませんでしたが、だんだん活動していく中で「地味な活動こそ大事だな」と気づきました。気づくまで続けられるか、続けられないかではと思います。今年はたくさん入ってくれるかな、期待しています。

梶原先生:生徒を見ていて思うのは、人の悪口は言わないとか妬まないとか、社会に出てからも大事な基本が結構、入っていると思います。自分たちで活動する時間が長いので、自分たちで活動していてうまくいっているのは、多少あるかもしれません。

今その基本がちゃんとできれば、社会に出ても人の悪口を言わないと思います。言う習慣をつけてしまうと、社会に出てからも言う人になってしまう。言う人は言う人で、言わない人は言わない人で、集まっていきます。

基本的なこと、当たり前のことは意外と教えてもらえません。社会に出てからは、なおさら言われません。だから、そういう部分を大事にすることは、小さくても今に繋がっているのかもしれません。

小学生の頃には「自分から挨拶する」「笑顔を見せてニコニコする」と教わります。社会に出てから基本的なところになります。それが当たり前にできるということは、社会に出てからも楽ではないですが、集団の中で生きやすくなります。

だから今できれば本当に、絶対よいです。今、表情がよい生徒、笑顔がよい生徒は、マスクをしていても伝わります。悪口を言ったりすると、顔に出てきてしまいます。

生徒がいろいろな大人と関わる中で、大人に応援されるのは、基本的なことをしているからと思います。

――三年間、活動してきて「まずはチーム作りが大切だな」と本当に思いました。チームの土台ができていないと、そのぶん結果も活動もついてきません。

梶原先生:先輩から後輩へ、そういう繋がりも当たり前にできるのが、ユネスコクラブの伝統かもしれません。

活動後の「感想文」一枚

――自分ができなくて「嫌だな」と感じたことはあります。 一生懸命していても、追いつくまでは時間がかかります。そこまでに「なんで自分は文章を書けないんだろう」「先輩みたいな笑顔ができないんだろう」という「嫌だな」はたくさん。

ただ、努力を続ければ、必ずできるようになると信じていました。だから「嫌だな」は感じたぐらいです。

梶原先生:いろんなタイプがいますから。友達にならなくても、うまくやれれば。それさえできれば。社会の中で「絶対この人とは友達にならない」という人と、同じチームを 組んでいかなければいけない機会は必ずきますから。今うまくやればと思います。

――ユネスコクラブに入って、やめてしまわずに続けている人を見ると、本当に悪口なんて出てきません。皆、本当に一生懸命で、先輩も輝いていて、同じ学年生も頑張っています。

「自分ももっとやらないと」と思える環境にありましたから、悪口が出ない環境を作ってくださった、今までの先輩を本当に「ありがたいな」と思います。この環境、土台があったおかげで今、私が頑張ってこられたことをすごく感じています。

――「嫌だな」と思っても、自分がなぜ嫌だったのか考えていくと「自分がもうちょっとこうしたかった」「もっと調べておけば言えたのに」と、根本を探っていくことになります。

そうすると「自分がもうちょっとこうすればよかった」という改善点が見えてきます。それはまず自分の未熟から始まっています。「嫌だな」と思っても、なぜ嫌だったのか考えていくと、自分に当てはまってきます。

だから人を責めない、否定しないということが、自然とできてくるのではと思いました。

――部活の中で、振り返るタイミングが結構あります。販売活動が終わった日に一枚、感想文を書いたり、大会が終わった後に感想文を書いたり、一年生の時から当たり前にしてきました。

「こういう失敗ってどうなったんだろう」と文章に起こして、嫌でも考えてきた結果かもしれません。根本は「自分がこうすればよかった」ということが、文字に起こして目で見てもわかります。考えたくなくても、そこは考えてしっかりできました。それも大きかったと思います。

写真:三年生

――形としても残りますから、少し時間が経ってから見返すと「自分はこう考えていたんだ」「ちょっと成長したな」と、自分でも感じられるポイントになります。だから残しておけるのはよいと思います。

それに書いたものは全員、集めて共有します。最近はコロナウィルスの影響で、その機会がなくなってしまいましたが、一年生の時からしてきました。

――イベントや大会が終わった後、取材の場をいただいてきたことも、振り返るきっかけになりました。自分ができなかったこと、成長できたこと、自分たちの行動を見直してきたことが大きかったかもしれません。

梶原先生:今日スピーチに来た卒業生、四年目で係長です。ほかの卒業生を見ていても、社会に出てからの活躍が倍ぐらい速い。優秀ですよね。大事なところは、引き継がれていると思います。


愛知商業高校ユネスコクラブ

地味な活動の大切さ【ユネスコクラブ】2020年SDGs(4/5)